ヒトラー殿の11人 Ver.25/06/02 1~5人用 約120分 0.概要  プレイヤーはヒトラーとその麾下の11人の将軍となり、欧州の制覇に乗り出します。  多人数プレイでは第三帝国の躍進に最も貢献できたプレイヤーが勝者となります。  ソロプレイでは首都ベルリンの死守を当面の目標とし、内容による勝利得点を競ってください。 1.内容物 ■マップ A3サイズ×4枚 ■ターントラックシート 1枚 ■チット 176枚 ■カード 40枚 ■マニュアル 1冊 ※ダイスが10個以上必要となります。別途ご用意ください。 ※その他、VP(勝利得点)を表すチップ等が必要です。これも別途ご用意ください。 2.用具・用語について 2-1.マップ  マップは、端を白点線に沿ってカッター等で切り離し、組み立ててください。  本作のマップは、実線・点線によって区切られた「エリア」で構成されています。  名称が記載されていれば、海域もひとつのエリアとみなされます。  ベルリンの周囲4エリアは「ドイツ中核部」エリアです。本作においては、ベルリンエリアはドイツ中核部エリアではないものとします。  赤い点線(ソ連国防圏ライン)より東にあるエリアは、すべて「ソ連国防圏エリア」です。  エリア外には、兵ユニットの「補充ボックス」と、アメリカ・ソ連の「参戦トラック」があります。   2-2.ユニット  本作のチットは、ユニットとマーカーとに大きく分かれます。  ユニットはゲーム上の戦力を表します。本作のユニットは、史実における1個軍団~1個軍(約3~20万人)程度に該当します。  ユニットには元首ユニット(HEAD)、将軍ユニット(Gen.)、兵ユニット(無印)の三種類があります。右上にそのユニットが所属する「勢力」、左上にユニットの「戦闘力」が記載されています。戦闘力が記載されていない兵ユニットの戦闘力は、1とみなします。  ユニットには表裏があります(背景色にドットがない方が表です)。ゲーム開始時にはすべてのユニットは原則として表面で使用されます。 2-3.勢力と陣営  本作のすべてのユニットはいずれかの「勢力」に属し、勢力は「枢軸軍」「連合軍」のいずれかの陣営に属しています。  ユニットはゲーム開始時には、それぞれの左上に記載された勢力に所属しています。  本作においては、アメリカ・ソ連以外の連合軍陣営の勢力は、ゲーム開始時にすべてドイツと交戦状態にあります。また枢軸軍陣営の各勢力もゲーム開始時から参戦状態にあり、ドイツ軍のユニットはこれらのユニットが存在するエリアに進入・通過することができます。 2-4.派閥  本作においてプレイヤーは、ドイツ軍勢力内のそれぞれ1派閥を担当します。  派閥にはヒトラーを含むドイツの将軍たちとドイツ兵ユニットが所属します。複数の派閥が同じエリアに存在する場合は、混ざらないようにユニットを分けて配置してください。  どのプレイヤーの派閥にも所属しないドイツ兵やその他の枢軸軍ユニットは、まとめて「中立派閥」に所属するものとして扱われます。  連合軍のユニットは、ゲーム開始時にはすべてひとつの「連合軍派閥」に所属するものとして扱います。上級ルールでは展開により「反逆軍派閥」が発生することがあります。 3.準備 ※以下、2~4人プレイ時のルールを解説します。ソロプレイ、5人プレイ時の差分ルールは後述します。  マップとターントラックシートを平らな場所に広げます。  各エリア、補充ボックスの中央部に記載された「初期配置」に従って、ユニットを配置します。  アメリカ・ソ連の「参戦マーカー」を、各トラックの「START」の位置に配置します。  「ターンマーカー」「国力マーカー」を、ターントラックシートの各トラックの「START」の位置に配置します。国力マーカーは、基本ルールにおいてはゲームの勝敗に影響しません。  武装親衛隊ユニットは、基本ルールでは使用しません。  チップを各プレイヤーに5VPずつ配り、残りは種類ごとに分けて銀行として場の脇に置きます。  「アクション一覧」カードを裏にして、各プレイヤーに1枚ずつ配ります。表面の右下に記載された数字が低い順に座り直してください。最も低いカードを引いたプレイヤーがスタートプレイヤーになります。  連合軍イベントカードのうち以下のカードを裏にしてよく切り、ターントラックシートの「山札」ボックスに置きます。   ・半終了(2枚とも)   ・チャーチル   ・スターリン   ・ルーズベルト  残りの連合軍イベントカードは、まとめて場の脇に置いてください。  「黒いオーケストラ」カードは、基本ルールでは使用しません。 3-1.将軍の分配  12枚の枢軸軍イベントカードを場に並べてください。  スタートプレイヤーから時計回りの順に、好きなカードを1枚ずつ選んで手元に置きます。  最後のプレイヤーが1枚選んだらさらに続けて1枚手元に加えて、次は反時計回りの順に1枚ずつカードを選びます。スタートプレイヤーの順番に戻ったら、スタートプレイヤーは2枚続けてカードを選び、また時計回りの順に1枚ずつカードを選びます。この手順を場のカードがなくなるまで繰り返します。  例えば3人プレイ時の選択順は、以下のようになります。   ・スタートプレイヤー:1枚目、6枚目、7枚目、12枚目   ・2番手のプレイヤー:2枚目、5枚目、8枚目、11枚目   ・3番手のプレイヤー:3枚目、4枚目、9枚目、10枚目  カードの分配が終わったら、各プレイヤーは選んだカードと同じ将軍のユニットを受け取ります。  さらに、以下の数のドイツ兵ユニットを受け取ります。   ・2人プレイ時:各6ユニットずつ   ・3人プレイ時:各5ユニットずつ   ・4人プレイ時:スタートプレイヤー3ユニット、2番手、3番手プレイヤー4ユニット、4番手プレイヤー5ユニット   ・5人プレイ時:各3ユニットずつ  余ったドイツ兵ユニットは、ゲームから除外します。 3-2.ドイツ軍の初期配置  まずヒトラーユニットをベルリンに配置します。  その後、スタートプレイヤーから時計回りの順に、ドイツ中核部のうち1エリアを選んで、手持ちのユニットをすべて配置します。  他のプレイヤーと同じエリアに配置してもかまいません。他派閥同士のユニットが混ざらないように配置してください。  全員が配置したらゲーム開始です。スタートプレイヤーから時計回りの順に手番を進行します。 4.将軍のアクション  手番のプレイヤーは、手元に並べたカードのうち1枚を、行動済みを表すため横向きにして、その将軍ユニットのアクションを行います。  未行動のカードが1枚でも手元にある際には、行動済みの将軍をアクションさせることはできません。手元のカードがすべて行動済みの場合は、好きな将軍をアクションさせることができますが、その将軍のアクティブ能力(後述)は一切使用できません。  行えるアクションは以下のうちひとつです。   【移動】   【動員】   【通常攻撃】   【移動攻撃】   【空爆】   【砲撃】   【転属】   【待機】   【現役復帰】 4-1.移動  【移動】アクションを選択した将軍ユニットは、同じエリアにある同派閥のユニットを好きなだけ引率して、2エリア分まで移動できます。  移動する際、もとのエリアは空にしてかまいません(ドイツ兵を最低1ユニット置いていかなければならないというルールはない)。  移動においてはエリア境界線の違い(平地・要塞・海域)は無視されます。  連合軍移動方向を示す矢印の存在も、枢軸軍の移動には影響しません。  連合軍のユニットが存在するエリアには、進入・通過できません。  (進入禁止)、(枢軸軍進入禁止)と書かれたエリアにも、進入・通過できません。  通過したエリアのユニットと合流したり、ユニットの一部を置いていったりはできません。  ベルリンはヒトラー以外の枢軸軍ユニットは進入禁止です。ヒトラーが自派閥であっても進入・通過できません。  枢軸軍の他の派閥が存在するエリアには進入・通過できます。他派閥同士のユニットが混ざらないように配置してください。 4-1-1.ドイツ兵ユニットの中立派閥化  ドイツ兵ユニットは単独ではプレイヤー派閥に所属できません。もし兵ユニットだけを置いてその派閥の将軍ユニットがすべてそのエリアからいなくなったら、残された兵ユニットは中立派閥に所属転換します。そのエリアに別派閥の将軍ユニットがあればその派閥に(複数派閥があれば、手番プレイヤーが選ぶ)編入され、ドイツ兵ユニットだけのエリアがあれば、次にそのエリアに進入した(そのエリアで移動を停止した)将軍の派閥に編入されます。 4-2.動員  【動員】アクションは、原則としてドイツ中核部に所在する将軍ユニットのみが実行できます。  ドイツ兵補充ボックスにドイツ兵ユニットがあれば、うち2ユニットを【動員】アクションを行った将軍ユニットと同じエリアに、自派閥の兵ユニットとして配置できます。  補充できるユニット数より少ない数の兵ユニットを補充してもかまいません。 4-3.攻撃  攻撃を伴うアクションは、【通常攻撃】、【移動攻撃】、【空爆】、【砲撃】の4種です。  うち【移動攻撃】以外のアクションは、隣接エリアに連合軍ユニットがいなければ実行できません。  【通常攻撃】を行う場合は、隣接する攻撃対象のエリアと、攻撃に参加するユニットを選ばなければなりません。  攻撃に参加することができるのは、アクションを行う将軍ユニットと同じエリアにある同派閥のユニットです。アクションを行う将軍ユニット自身は必ず攻撃に参加しなければなりません。 4-3-1.攻撃の手順  攻撃は以下の手順で解決します。   ①攻撃側ヒット数の算出   ②反撃側ヒット数の算出   ③攻撃側損害の適用   ④反撃側損害の適用   ⑤戦闘後前進   ⑥連合軍将軍の復帰   ⑦降伏の処理   ⑧VP獲得 4-3-2.ヒット数の算出  手番プレイヤーは、攻撃に参加したユニットの数だけダイスを振り、攻撃アクションを行った将軍の戦闘力以下の出目が出たダイスの数がヒット数となり、その数だけ対象エリアに損害を与えます。  アクションを実行した将軍よりも戦闘力の高い将軍ユニットが戦闘に参加していても、アクションを実行した将軍の戦闘力が参照されます。  要塞境界線越しに攻撃する場合、枢軸軍の戦闘力はマイナス1されます(戦闘力1の場合は0になります)。  攻撃を受けた連合軍は、同時に反撃を行います。攻撃対象のエリアにあったユニットの数だけダイスを振り、そのエリア内で最も戦闘力の高いユニットの戦闘力以下の出目の数がヒット数となり、その数だけ攻撃側ユニットが損害を受けます。  エリア内に複数の勢力が混在していても関係なく、エリア内のすべてのユニットが最も高い戦闘力で反撃に参加します。兵ユニットしかないエリアの(額面の)戦闘力は1として扱います。  要塞境界線越しの反撃であれば、連合軍の戦闘力はプラス1として扱われます。  海域境界線越しの反撃は、平地と同様に扱います。 4-3-3.損害の適用  手番プレイヤーは攻撃側のヒット数だけ、攻撃対象エリアの連合軍ユニットを除去します。  除去するユニットは、以下の条件を守った上で手番プレイヤーが任意に選ぶことができます。   ①元首ユニットは最後に除去されなければならない   ②兵ユニットが残っている限り、将軍ユニットは除去できない(勢力は問わない。たとえば米英軍が混在しているエリアで、アメリカ兵が残っていればイギリスの将軍は除去できない)  除去された兵ユニットは、それぞれの勢力の補充ボックスに移します。   ユニット数より多いヒット数を出した場合、対象エリアの連合軍は全滅し、余ったヒット数は無視されます。  同様に、反撃側のヒット数だけ攻撃に参加したユニットを除去します。  除去するユニットは手番プレイヤーが任意に選ぶことができます。将軍ユニットを先に除去してもかまいません。  除去されたドイツ兵ユニットはドイツ兵補充ボックスに、将軍ユニットはドイツ将軍療養ボックスに移します。   攻撃に参加したユニットが全滅した場合は、余ったヒット数は無視されます。同一エリアに攻撃に参加しなかった枢軸軍ユニットがいても、それらに影響はありません。また反撃によって攻撃側エリア内のユニットが全滅しても、反撃側ユニットがそのエリアに戦闘後前進してくることはありません。 4-3-4.戦闘後前進  攻撃によって対象エリアの連合軍ユニットが全滅したら、手番プレイヤーは対象エリアに攻撃に参加したユニットを好きなだけ移動させることができます。全く移動させなくてもかまいません。 4-3-5.将軍ユニットの復帰と敵本拠地の占領  攻撃の手順の最後に、除去された連合軍の将軍ユニットがそれぞれの本拠地エリアに復帰します。  いくつかの本拠地エリアには、「その将軍がマップ上にある間は枢軸軍ユニット進入不可」の制限があります。  これらのエリアに進入するためには、(本拠地エリア以外に進軍していれば、まずこれを全滅させて本拠地エリアに戻し)本拠地エリアにいる状態でユニットを全滅させ、戦闘後前進でそのエリアに進入する必要があります。  本拠地エリアを占領された将軍ユニットはただちにゲームから除外されます(モントゴメリーのみ例外。後述)。  本拠地エリアを一度枢軸軍が占領したら、以降そのエリアは枢軸軍ユニットがいなくなっても枢軸軍支配下として扱われ、そのエリアに兵ユニットを補充する等のイベント指示は無視されます(ロンドンのみ例外。後述)。 4-3-6.勢力の降伏  攻撃によってある勢力の元首ユニットがマップ上から除去されたら、その勢力は敵対陣営に降伏し、ゲームから消滅します。  まずマップ上と補充ボックスからその勢力のユニットをすべて除去し、それらを裏返します。  裏が兵ユニットであれば、それぞれの勢力の補充ボックスに移します。   VPマーカーであれば、手番プレイヤーは記載されたVPを獲得します。また記載された国力アイコンの数だけドイツ国力を上昇させます。その後そのマーカーをゲームから除外します。  チトーはチトー本拠地ボックスに移します。  イギリス、ソ連、アメリカ、パルチザンの4勢力は元首ユニットを持ちません。これらの勢力は(首都を占領されても)枢軸軍に降伏しません。 4-3-7.VPの獲得  損害の適用が終わったら、手番プレイヤーは今回の攻撃によって除去した連合軍ユニットの数だけ、銀行からVPチップを得ます。  敵軍より多いヒット数を与えても除去したユニット数までしか受け取れません。自軍が全滅していてもVPは受け取れます。  パリのフランス元首ユニットを除去すると、降伏の処理によってメッツとマルセイユのフランス軍ユニットも除去されますが、これらの除去によるVPは得られません。  戦闘後前進によって占領した連合軍本拠地にVPアイコンが描いてあれば、記載されたVPを獲得します。また記載された国力アイコンの数だけドイツ国力を上昇させます。  ロンドンを最初に占領したプレイヤーは、ロンドン占領マーカーに記載されたVPを獲得し、国力アイコンの数だけドイツ国力を上昇させます。その後ロンドン占領マーカーをゲームから除外します。 4-3-8.移動攻撃、空爆、砲撃  【移動攻撃】アクションを選択した将軍ユニットは、同じエリアにある同派閥のユニットを好きなだけ引率して、1エリア移動し、その後隣接エリアに攻撃を行います。  移動先のエリアに同派閥のユニットがあっても、攻撃に参加させることはできません。  【空爆】アクションによって攻撃した場合は、攻撃側の戦闘力が1になる代わりに、エリア境界線による影響を無視できます。  海域境界線越しに攻撃を行うには、このアクションを使うしかありません。反撃も平地と同様に扱われます。  【砲撃】アクションによって攻撃した場合は、振るダイスが3ユニットにつき1個(端数は切り捨て)となる代わりに、連合軍ユニットからの反撃を受けません。  要塞境界線越しに【砲撃】する場合、枢軸軍の戦闘力はマイナス1されます。 4-4.転属  【転属】アクションを選択した時、ドイツ兵補充ボックスに兵ユニットがあれば、1ユニットをアクションした将軍ユニットと同じエリアに、自派閥の兵ユニットとして配置できます。  その後、将軍ユニットを除去し、連合軍ユニットが存在しないドイツ中核部エリアのいずれかに再配置します。 4-5.待機  将軍ユニットを【待機】させた手番プレイヤーはダイスを1個振り、出目が2以下であれば銀行から1VPを得ます。 4-6.現役復帰  ドイツ将軍療養ボックスにある将軍ユニットは、【待機】か【現役復帰】のいずれかしか行えません。  【現役復帰】アクションを行った将軍ユニットを、連合軍ユニットが存在しないドイツ中核部エリアのいずれかに配置します。 5.連合軍イベント  将軍ユニットのアクションを行った手番プレイヤーは、続いて山札からカードを1枚めくり、記載されたイベントの処理を行います。  イベントを処理した後のカードは、連合軍カード捨て場に表向きに捨てます。枢軸軍カード捨て場はソロプレイでしか使用しません。  連合軍イベントを処理したら手番終了となり、手番は左隣のプレイヤーに移ります。 5-1.進軍  「進軍」の指示を受けた連合軍の将軍は、2回移動を行います。  ただし1回目の移動先に枢軸軍のユニットがあればそのエリアに攻撃を行い、その結果にかかわらず2回目の移動は行いません。  移動するエリアは矢印によって決定されます。そのエリアに矢印がひとつしかなければその方向に、複数あればダイスを1個振ってその出目の矢印の方向に進みます。  連合軍の将軍は移動先に他の連合軍(派閥)のユニットがあれば、うち元首ユニットを除くすべてと合流し、以降はそれらと共に移動・戦闘を行います。 5-1-1.連合軍の攻撃  連合軍の将軍の移動先に枢軸軍のユニットがあれば、そのエリアに攻撃を行います。  攻撃は以下の手順で処理されます。   ①攻撃側ヒット数の算出   ②反撃側ヒット数の算出   ③攻撃側損害の適用   ④反撃側損害の適用   ⑤戦闘後前進   ⑥連合軍将軍の復帰   ⑦降伏の処理   ⑧(反撃プレイヤーの)VP獲得  進軍を行う将軍と同じエリアにいる連合軍のユニット(ただし元首ユニットは攻撃に参加しない)の数だけダイスを振ります。進軍した将軍の戦闘力以下の出目が出たダイスの数がヒット数となり、その数だけ対象エリアに損害を与えます。  より戦闘力の高い将軍ユニットが戦闘に参加していても、進軍した将軍の戦闘力が参照されます。  要塞境界線越しの攻撃であれば、連合軍の戦闘力はプラス1として扱われます。  連合軍による海域境界線越し、アフリカからアテネへの攻撃、アイゼンハワー、パットン、チトー各本拠地ボックスからの攻撃は、すべて平地越しと同様に扱います。 5-1-2.枢軸軍の反撃  攻撃対象エリアにいた枢軸軍ユニットは、同時に反撃を行います。  枢軸軍進入不可・攻撃不可エリアからの攻撃でも、反撃は通常通り処理します。  枢軸軍の複数の派閥が混在するエリアだった場合、どの派閥から順番に反撃するかは、手番プレイヤーが決定します。  各派閥の中で最も戦闘力の高いユニットの戦闘力を参照して、それぞれ反撃します。  兵ユニットのみの派閥の戦闘力は1として扱います。  要塞境界線越しの反撃は、戦闘力マイナス1になります。海域境界線越し、アテネからアフリカへの反撃、アイゼンハワー、パットン、チトー各本拠地ボックスへの反撃は、すべて平地越しと同様に扱います。  反撃によるヒット数が、攻撃した連合軍のユニット数以上になった場合は、それ以上の反撃は無効となります。 5-1-3.連合軍攻撃による損害の適用  攻撃対象エリアにいた枢軸軍ユニットは、連合軍が出したヒット数だけ損害を受けます。  損害の適用は、そのユニットが属する派閥の担当プレイヤーが行います  中立派閥の損害適用は手番プレイヤーが行います。元首ユニットはそのエリアに他のユニットがある限り損害を適用できません。  複数の派閥が混在していた場合、できるだけ平等になるように各派閥にヒット数を分配し、端数は手番プレイヤーが割り当てを決定します。全滅した派閥の余ったヒット数は、他の派閥が受け持たなければなりません。 例:  派閥Aの6ユニット、派閥Bの3ユニット、派閥Cの2ユニット、中立派閥(イタリア軍)の2ユニットが混在するローマに、連合軍の攻撃により8ヒットの損害が与えられた。  1派閥あたり2ヒットずつの割り当てになるが、中立派閥の1ユニットは元首ユニットのため除去できず、その分はドイツ軍が追加で負担する。  派閥Aは4ユニット、派閥Bは1ユニット、派閥Cは全滅、中立派閥は1(元首)ユニットが残り、最後の1ヒットを派閥AとBのいずれに与えるかは、手番プレイヤーが決定する。    枢軸軍の反撃によって除去するユニットは、以下の条件を守った上で手番プレイヤーが任意に選びます。   ・兵ユニットが残っている限り、将軍ユニットは除去できない  反撃によって攻撃側エリアのユニットが全滅しても、戦闘後前進は行えません。 5-1-4.連合軍の戦闘後前進  連合軍の将軍は、攻撃により対象エリアの枢軸軍ユニットが全滅したら、元首以外のすべてのユニットを引率して、対象エリアに戦闘後前進します。 5-1-5.反撃プレイヤーのVP獲得  反撃によって連合軍ユニットを除去したプレイヤーは、その数だけ銀行からVPを獲得します。  中立派閥が除去したユニットによるVPは、誰も受け取れません。 5-2.連合軍ユニットの補充  兵ユニットを補充する指示があった場合、指定されたエリアにその勢力の兵ユニットを補充します。  補充ボックスにある兵ユニットが不足している場合は、あるだけ対象エリアに補充し、残りは無視します。  たとえば、「チャーチル」カードがめくられたとき、イギリス兵補充ボックスに1ユニットもなかったら、何もせず手番を終了させます。  ゲームから除外された将軍ユニットの所在地、枢軸軍に占領された連合軍本拠地に対する補充の指示は、無視します。  たとえば、「スターリン」カードがめくられたとき、ソ連の本拠地が3ヶ所とも陥落していたら、何もせず手番を終了させます。  将軍イベントカードに記載された「所在エリアのユニット数」は、連合軍すべてを含みます。そのエリアに他勢力の元首ユニットと含めて丁度6ユニットある場合は、5ユニットで進軍します。 5-3.戦略爆撃  兵ユニットを除去するイベント効果があったとき、対象エリアに枢軸軍の兵ユニットがひとつもなければ(将軍ユニットしかない等)、その指示は無視されます。  ドイツの国力は12以上や1以下にはなりません。 5-4.半終了カード  山札には「半終了」カードが2枚入っています。1枚目の半終了がめくられたら、ターントラックに記載された「ターンイベント」を処理します。  2枚目の半終了がめくられたら、そのとき連合軍カード捨て場の一番上にあるカードのイベントを処理します。一番上が1枚目の半終了であれば、ターンイベントをもう一度行います。  2枚目の半終了によるイベントを処理したら、1ターンが終了します。 6.ターンの終了処理  ターンマーカーを次のマスに進めます。  全員、手元の将軍カードをすべて未行動の状態に戻します。  連合軍カード捨て場のカードを、山札の残りと混ぜてよく切り直し、新たな山札とします。  最後に手番を行ったプレイヤーの左隣が、次のターンの最初の手番プレイヤーとなります。 7.その他のイベント 7-1.ポーランドの降伏  ポーランドの元首ユニットが除去されたら、ポーランドの降伏を処理するのと同時に、ポーランド東(PE)、ラトビア(LV)、リトアニア(LT)、エストニア(EE)の兵ユニットを、すべて所在するエリアで裏返し、ソ連兵の面にします。  これは史実のソ連による東ポーランド・バルト三国への進出を再現する演出であり、ルール上はこれらのユニットは初めからソ連兵だったものとして扱われます。ポーランド降伏前にこれらのユニットが攻撃される、もしくはそれ以外のソ連参戦の条件が満たされた場合は、ただちにユニットを裏返してください。 7-2.ソ連の参戦  ソ連は以下のいずれかの条件が満たされたら、連合軍として参戦します。   ・ソ連参戦マーカーが「参戦」のマスに入る   ・ドイツ軍のユニットがソ連国防圏のいずれかのエリアに進入する   ・ソ連国防圏にあるソ連もしくは連合軍のユニットが、ドイツ軍により攻撃される  ソ連以外の連合軍がソ連国防圏に進入する場合がありますが、それによってソ連が参戦することはありません。  ソ連が参戦したら、ソ連参戦マーカーが「参戦」のマスに移動させ、ティモシェンコ、コーネフ、ジューコフのイベントカードを(ジューコフを一番上にして)連合軍カード捨て場に置きます。 7-3.アメリカの参戦  アメリカは以下のいずれかの条件が満たされたら、連合軍として参戦します。   ・アメリカ参戦マーカーが「参戦」のマスに入る   ・ロンドンが枢軸軍に占領される  アメリカが参戦したら、アメリカ参戦マーカーが「参戦」のマスに移動させ、アイゼンハワー、パットンのイベントカードを(アイゼンハワーを上にして)連合軍カード捨て場に置きます。 7-4.ロンドン  ロンドンに置かれている「ロンドン占領」マーカーは、ユニットではありません。攻撃・反撃・進軍に参加しません。  戦闘後前進でロンドンに進入したプレイヤーは、ロンドン占領マーカーに記載されたVPを得ます。また国力マーカーの数だけドイツ国力を上昇させます。その後ロンドン占領マーカーをゲームから除外します。  ロンドンが占領されるとモントゴメリーをマップ上から取り除きますが、彼はゲームに復活する可能性があります。  ロンドンが枢軸軍に占領されると、(まだ未参戦であれば)ただちにアメリカが参戦します。枢軸軍占領下のロンドンは「アメリカ軍以外の」連合軍進入禁止となります。  アイゼンハワーがロンドンに進入・通過したとき、モントゴメリーユニットをゲームに復活させ、ロンドンに配置します。ロンドンを奪還されたことでドイツの国力が減少したり、占領時に得たVPが失われることはありません。  奪還されたロンドンを再占領することは可能です。モントゴメリーは再びゲームから姿を消しますが、ロンドン占領マーカーによるVPや国力を再び得ることはできません。 8.ゲームの終了  以下のいずれかの条件が満たされたら、ゲームは終了します。   ・ヒトラーユニットがマップ上から除去される(滅亡終了)   ・1944年夏ターンが終了する(時間切れ終了)   ・ロンドン占領マーカーがゲームから除外されていて、かつレニングラード、モスクワ、スターリングラード、カイロをすべて枢軸軍が占領している(制覇終了)  ロンドンが連合軍に奪還されていても、アメリカ軍やパルチザンがどんなに暴れていても、制覇終了の条件は満たされます。  基本ルールでは滅亡終了の場合は、プレイヤー全員がゲームに敗北し、ベンヤミン・ネタニヤフがこのゲームの勝者となります。  それ以外の終了の場合は、獲得したVPの最も多いプレイヤーが勝者となります。同点の場合は、最後に手番を行ったプレイヤーの左隣から時計回りの順に優位とします。 9.将軍の特殊能力  枢軸軍イベントカードに記載された将軍の能力のうち、「A:」と記された「アクティブ能力」は、その将軍がアクションを行った時しか効果を発揮しません。  「P:」と記された「パッシブ能力」は、ゲーム中いつでも発動します。 ◯ヒトラー  ヒトラーユニットはベルリンから移動できず、能動的な攻撃も一切行えません。ヒトラーユニットが行えるアクションは【待機】と、後述する【総統命令】のみとなります。  【総統命令】はヒトラーのみが行える特殊アクションです。他の将軍ユニットを1人選び、好きなアクションを行わせることができます。  行動させる将軍はすでに行動済みでもかまいません。また命令を実行しても行動済みになりません。ただしその将軍のアクティブ能力は一切使用できません。  他派閥の将軍に命令することもできます。移動先・攻撃目標から戦闘後前進させるユニットに至るまで、すべてヒトラープレイヤーが指示します。発生したVPは、もとの派閥のプレイヤーが受け取ります。  【総統命令】を受けた派閥のプレイヤーは、命令を拒否する場合、銀行に1VP返さなければなりません。その後命令された将軍に好きなアクションをさせます。これは命令の途中でも行うことができます(たとえば攻撃終了時に、戦闘後前進を行わないように指示されたが、1VP払って命令を拒否し、ユニットを戦闘後前進させる)。 ◯マンシュタイン  反撃時のみ戦闘力が4になります。 ◯グデーリアン  【移動攻撃】した時の戦闘力が4になります。  1エリア移動した後に攻撃しないと、【移動攻撃】とはみなされません。 ◯ルントシュテット  ドイツ中核部以外でも【動員】アクションが行えます。  ただし補充できるのは1ユニットだけです。またソ連国防圏内では行えません。 ◯モーデル  モーデルと同じエリアにいる同派閥の枢軸軍(最大6ユニット)は、「冬将軍イベント」の影響を受けません。  冬将軍イベント時に、モーデルユニットおよび同エリア同派閥の最大計6ユニットは、そこにいないものとして扱うことができます。 例:  モーデルとドイツ兵7ユニットからなる派閥Aと、ロンメルとドイツ兵6ユニットからなる派閥Bがスモレンクスで冬将軍イベントの対象となった。2Dの出目は「3」だった。  モーデルユニットおよび派閥Aの5ユニットはこの場にいないものとして扱う。損害は6ヒット分で、通常であれば3ヒットずつ分担するが、派閥Aは2ユニットしかない扱いなので、派閥Bが残る4ヒットを負担する。  結果、派閥Aは6ユニット、派閥Bは3ユニットが残る。モーデルを除去することはできないが、派閥Bのプレイヤーはロンメルを除去することを選択してもよい。 ◯パウルス  パウルスユニットと同じエリアにいるルーマニア兵ユニットを、自派閥の兵として扱うことができます。  ルーマニア兵だけを置いてパウルスユニットが別エリアに行ったら、残されたルーマニア兵は中立派閥に戻ります。他の将軍はルーマニア兵を自派閥に取り込めません。  ルーマニア兵ユニットが補充ボックスにあり、かつパウルスがブカレストにいたら、そこで【動員】アクションを行い、 ルーマニア兵を(最大2ユニット)補充することができます。  ルーマニアが降伏したら、ルーマニア兵ユニットはどこにいてもマップ上から除去され、裏返ってしまいます。以降はブカレストにいても【動員】アクションは行えません。 ◯ロンメル  【通常攻撃】もしくは【移動攻撃】した時の戦闘力が4になります。 ◯カイテル  【動員】アクションの時、最大3ユニット補充できます。 ◯ゼップ  【移動】もしくは【移動攻撃】した時に、1エリア多く移動できます。 ◯ヨードル  【砲撃】した時の戦闘力が4になります。 ◯ゲーリング  ゲーリングユニットを含む6ユニット以下で【空爆】した時、戦闘力3の扱いで攻撃できます。 ◯ケッセルリンク  ケッセルリンクユニットを含む6ユニット以下で【空爆】した時、戦闘力2の扱いで攻撃できます。 10.5人用プレイ  5人でプレイする場合、ヒトラーは中立派閥となります。11枚の将軍カードを各人2枚ずつ取り、最後に残ったカードとその将軍のユニットはゲームから除外します。 10-1.中立のヒトラー  ヒトラーカードを山札に混ぜます。  ヒトラーカードをめくったプレイヤーは、好きな将軍に【総統命令】を行うことができます。  その後、ヒトラーカードは連合軍カード捨て場に置かれます。2枚目の半終了がめくられたとき、捨て場の一番上のカードがヒトラーであれば、再び【総統命令】を行います。  中立派閥のヒトラーカードは、ターン更新ごとに山札に戻します。 11.ソロプレイ  ソロプレイにおいては、すべてのドイツ軍は同一のプレイヤー派閥に属しているものとして扱います。また手番プレイヤーは常に(単一の)プレイヤーが担当します。  ゲーム開始時、ドイツ兵7ユニットとヒトラー以外の将軍ユニットを、ドイツ中核部エリアに好きな配分で配置します。すべて同一のエリアに置いてもかまいません。残りのドイツ兵9ユニットはゲームから除外します。  枢軸軍イベントカードを好きなだけ(全部でもよい)山札に加えてよく切ります。残った枢軸軍イベントカードは、枢軸軍カード捨て場に置いてください。  手番においてプレイヤーは山札からカードを1枚めくります。枢軸軍カードであれば、その将軍のアクションを行い、その後そのカードを枢軸軍カード捨て場に置きます。連合軍カードであればイベントを解決し、その後カードを連合軍カード捨て場に置きます。  ターンの終了時にプレイヤーは、枢軸軍カード捨て場にあるカードを、最大でドイツ国力と同じ枚数だけ、山札に戻すことができます。残りは枢軸軍カード捨て場に置いたままにします。  ソロプレイの最終ターンは1945年夏です。  滅亡終了であればプレイヤーはゲームに敗北し、ドナルド・トランプかウラジーミル・プーチンのどっちかがこのゲームの勝者となります。  制覇終了した場合は、残ったターン数×10VPを銀行から得ることができます。ターンマーカーが1944年春にあったなら、40VPを獲得します。 12.短縮シナリオ  ゲーム開始時の山札は以下の通りです。   ・半終了(2枚とも)   ・チャーチル   ・モントゴメリー   ・アレグザンダー   ・スターリン   ・ジューコフ   ・コーネフ   ・ティモシェンコ   ・ルーズベルト   ・戦略爆撃(1枚のみ)  ソロプレイの際には、これに枢軸軍イベントカードを好きなだけ(全部でもよい)加えてください。5人プレイの場合はヒトラーカードを加えます。  マーカーを以下の位置に配置してください。   ・ターンマーカー:1941年夏   ・ドイツ国力:通常初期配置のひとつ上   ・アメリカ参戦:参戦のひとつ左   ・ソ連参戦:参戦  以下の勢力はすでに降伏し、ゲームに登場しません。所属するユニットをすべて裏返してください。   ・ポーランド(PO)、ノルウェー(NW)、デンマーク(DE)、オランダ(NE)、ベルギー(BE)、フランス(FR)、ユーゴスラビア(YU)、ギリシャ(GR)  以下の勢力はソ連に征服され、ゲームに登場しません。ユニットを初期配置のエリアに置いた後、すべて裏返してください。   ポーランド東(PE)、ラトビア(LV)、リトアニア(LT)、エストニア(EE)  以下の勢力の初期配置は変更されません。   ・アメリカ(US)、ソ連(SU)、イタリア(IT)、フィンランド(FI)、ハンガリー(HU)、ルーマニア(RU)、ブルガリア(BU)  イギリス(UK)軍の初期配置は以下の通りです。   ・ロンドンにモントゴメリー、イギリス兵×5、ロンドン占領マーカー   ・エル・アラメインにイギリス兵×1   ・アレクサンドリアにイギリス兵×1   ・カイロにアレグザンダー、イギリス兵×5   ・イギリス兵補充ボックスにイギリス兵×3  ドイツ(GE)軍の初期配置は以下の通りです。   ・ベルリンにヒトラー   ・ケーニヒズベルグにモーデル+ドイツ兵×5   ・ワルシャワのマンシュタイン+ドイツ兵×5   ・ブダペストにグデーリアン+ドイツ兵×5   ・ブカレストにパウルス+ドイツ兵×3   ・リールにゲーリング+ドイツ兵×5   ・パリにルントシュテット+ドイツ兵×4   ・ローマにケッセルリンク+ドイツ兵×3   ・トブルクにロンメル+ドイツ兵×1   ・(任意のドイツ中核部エリア)にカイテル   ・(任意のドイツ中核部エリア)にゼップ+ドイツ兵×2   ・(任意のドイツ中核部エリア)にヨードル+ドイツ兵×1   ドイツ兵補充ボックスにドイツ兵×4  通常シナリオ時と同様に、将軍カードの分配を行います。  カイテル、ゼップ、ヨードルは、それぞれを派閥に加えたプレイヤーが配置するエリアを決定します。  5人プレイ時に誰にも選ばれなかった将軍のユニットは、マップから除去され、ゲームから除外されます。同じエリアにあったドイツ兵ユニットは、すべてドイツ兵補充ボックスに移します。  全員に5VPずつ配り、スタートプレイヤーから時計回りの順に手番を進行します。 13.たわごと  未来の自分に過度の期待をかけるのは、やめた方がいい。 ヒトラー殿の11人 Ver.25/06/02 頒布 芸無工房LOSERDOGS 企画/デザイン 北条投了(Hojo Toryo) テストプレイ ソロプレイのみ サポートページ http://www.tanisan.com/ld/